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うっかりミス急増? うつ病性の「仮性認知症」かも
初期の認知症を疑われた人の中には、うつ病が原因で認知症のような症状が起こっている場合もある。このような状態は「仮性認知症」として認知症とは別に考える必要がある。今回は治療によって大幅な改善が望める「仮性認知症」について紹介する。
■治療で改善! うつ病が原因の仮性認知症
仮性認知症とは、うつ病が原因で発症するもので、最近、テレビの健康番組などで「新型認知症」として取り上げられ注目を浴びている。「これは認知症とはまったく異なるメカニズムで起こるもので、早期発見、早期治療で劇的に改善が望めます」と話すのは、メモリークリニックお茶の水の院長で、東京医科歯科大学特任教授の朝田隆さん。
「『新型』と呼ばれたりしますが、仮性認知症は以前から知られている病気で、社会の高齢化に伴い近年増加しています。通常の認知症とは治療法が異なるので、診断では、うつ病、もしくは認知症であるか否かの判別が重要になってきています」と朝田さん。うつ病性仮性認知症は以前、たとえ放置しても本格的な認知症には移行しないといわれていたが、適切な対処をしないと、加齢などに伴い本当の認知症を起こすリスクが高いことが最近になって分かってきた。つまり、うつ病性仮性認知症は認知症予備軍といえるのである。
では、うつ病性仮性認知症と、認知症は、どこが違うのだろうか。
仮性認知症の原因はうつ病
仮性認知症とは、うつ病が原因で発症するそうです。
「これは認知症とはまったく異なるメカニズムで起こるもので、早期発見、早期治療で劇的に改善が望めます」と話すのは、メモリークリニックお茶の水の院長で、東京医科歯科大学特任教授の朝田隆さん。
脳のメカニズムに注目すると、アルツハイマー型認知症は、海馬の機能不全が原因なのに対し、うつ病が原因の仮性認知症は前頭葉の機能不全が原因だといいます。
そのため、対処法も違うということです。
前頭葉ってどんな役割をしているの?
前頭葉はおおまかにいうと,「行動を起こす領域」だそうです。
前頭葉の中の運動野は、筋肉を動かす指令を出すコンダクター。
また前方にある前頭前野は意志・意欲・人間らしい感情の抑制を担っていて、その判断によって行動を制御しているそうです。
この前頭葉が衰えると行動や感情表現が変わってしまうことは想像に難くないですね。
老化といえば、肉体の衰えや、物忘れが多くなることなどで意識するようになる方も多いでしょうが、「老化は感情から始まる」のだという説を唱えている医師がいます。
【人は「感情」から老化する―前頭葉の若さを保つ習慣術】の著者、精神科医・和田秀樹氏です。
「年老いてくと、脳の中でも人間だけが特異に発達している「前頭葉」が一番顕著に萎縮をしていき、それがやる気や向上心の減退を招くため、前頭葉を若く保つのが健康上何よりも大切である」と主張されています。
加齢と共に前頭葉が縮んでくるのだから、放っておかずに「感情面を刺激する生活」 をするよう著書で勧めていて、その具体的な方法も分かりやすく提示されていますので興味がある方は読んでみてください。
前頭葉の働きが鈍くなったら私たちはどうなる?
前頭葉が縮んでくると、具体的にどんな影響が出るのかというと、【感情のコントロールや切り替えができなくなったり、自発性や意欲が減退していく】というのです。
身近な家族や長年の親しい友人のそんな変化に心当たりはありませんか?
さらに、私自身も老いの入り口に立ったのを自覚して生きていますから、「どんな変化に気をつけたらよいのだろう」と気になります。
もともと前頭葉は加齢の影響を受けやすく、前頭葉の血流量は20代に比べ80代では20%低下するといわれている。うつ病性仮性認知症になるとさらに前頭葉への血流量が低下する。脳の血流量を調べるSPECT画像検査で調べると、その差は歴然としている。
前頭葉は注意力、集中力、段取りなどをつかさどる部位なので、うつ病性仮性認知症になると、日常生活の中で、うっかりミスが多くなる。
例えば、妻から「お父さん、私出かけるから、ここに書いてある5つの物を買っておいてね」と頼まれた夫が、「ああ、分かった、分かった」と返事をしたにもか かわらず、妻が帰宅したときにはまだ買い物に行っておらず、「お父さん、忘れたの?」と言われて初めて、「ああそういえば…」と思い出すようなミスがそ れ。そもそも人の話を注意して聞いていないなど、注意力が散漫になっているためうっかり忘れてしまうというタイプの物忘れが、このうつ病性仮性認知症の特徴だ。
また、うつ病により自律神経が乱れるため、頭痛、食欲不振、睡眠障害などの身体症状を引き起こすのも、この仮性認知症の特徴である。
上記の例のように、注意力が散漫になるためにうっかりミスが増える
のは「うつ病性仮性認知症」の特徴だそう。
さらに、うつ病が原因のため、自律神経が乱れ、下記のような症状が見られることが多いそうなので、チェックが必要ですね。
下記の項目が2つ以上当てはまる場合は、うつ病性仮性認知症の可能性が高いという。
1.便秘が多い
2.肩こりや頭痛に悩まされている
3.以前に比べ食欲が落ち、体重が減ってきた
4.夜中に目が覚めてしまう
5.以前より疲れやすくなった
これまで、「うつ病性仮性認知症は放置しても本格的な認知症に移行しない」といわれていましたが、適切な対処をしないままでいると、加齢などに伴い本当の認知症に進むリスクが高いことが最近になって分かってきたそうです。
また、早期発見、早期治療で劇的に改善するため、「うつ病性仮性認知症は認知症予備軍といえる」という認識を持って、大切な家族や友人、そして自分自身の変化を見逃さないようにし、「歳だから仕方ない…」と諦める前に、専門医を受診する機会を持つことも早期発見に務めたいと思います。