手を合わせてチームワークを高めている
「いくつかの職種や業種が連携して結果を出すために、目的や情報を共有する大切さ」について考えさせられる記事を読みました。
最近注目度の高いニュースでいえば、新国立競技場の問題も様々な立場の専門家がそれぞれの視点や都合で発言しているだけ、という状況が生み出した問題とも思えます。そこに国民やスポーツ選手の利益という目的意識や目線は感じられませんでしたが、計画見直しが発表され、どんな計画に生まれ変わるのかを注視したいと思います。
 
一方、施設介護から在宅介護中心へと舵を切った日本で、在宅で療養していても多様な専門家と繫がっている、情報を伝えるべき専門家に即時に伝達できる仕組みづくりが重要になってくると確信します。

 「高齢者が在宅で暮らし続けるための支援をする仕組みづくり」をするためには、現状以上に医療・介護の専門家の連携が高まらなければ家族の負担が増えてしまったり、今後増大するだろう独居高齢者の在宅ケアは難しいと想像します。
 
そんななかでオトミラが注目した事例をご紹介します。

 

製薬会社が取り組む在宅介護を効率化する仕組み作り

エーザイが認知症で「医療と介護」の連携に挑戦

〜服薬や生活状態を一元管理、医師とヘルパーが意思疎通図る〜

認 知症薬「アリセプト」で知られるエーザイは、認知症患者の在宅ケアを効率化する仕組みの構築も模索している。NTT東日本の情報共有システムを活用し、医師やケアマネジャーといった専門職の連携を促進する試みだ。認知症の症状は服薬状況や介護環境次第で変わると考えられるため、普段患者と接する介護担当者 が得た情報が治療方針決定のカギを握る。エーザイは在宅ケアの知見を中長期の医薬品開発や販売にも生かす考えだ。

(後略)

引用元: エーザイが認知症で「医療と介護」の連携に挑戦.

認知症薬「アリセプト」、有名な薬ですね。製造販売元のエーザイ株式会社は、[認知症患者の在宅ケアを効率化する仕組みづくり]を模索しているそうです。

「医療と介護を連携させる仕組みをつくらなければならない」と話すのは、エーザイ・ジャパンで認知症対策を担当する小峰俊也戦略企画部部長。

認知症患者が在宅介護サービスを受けながら、時々医師に診察してもらうケースでは、医師と介護担当者がうまく連携できていないケースも見られ、

「ヘルパーによって観察や報告の技能に差がある」
「紙のノートに患者の状況を記録して医師に報告しても情報が迅速に伝わらない」
という課題もあって、タイムリーな対応機会の損失や、誤った情報伝達が起こるケースもあるということが記事に書かれていました。

 

他業種との連携による課題の解決

そこで、エーザイ株式会社はNTT東日本が開発した、認知症患者の服薬状況や生活の状態を一元管理できるシステムを活用することで、複数の専門職が連携する仕組みの試験運用を、2014年5月に東京都品川区で始めたということです。

これによって、ヘルパーや看護師が患者の情報をタブレット端末などに入力し、医師がその情報を診療に活用することが可能となり、実際の試験運用で要介護5の患者を要介護3に改善した例が報告されています。

 

他職種の専門家との連携によりモチベーションアップ

 同システムでは患者ごとの管理項目が明示されており、複数のヘルパーが介護を分担するなどの場合でも同じ基準で記録を行いやすい。短文を即座にやりとりする機能もあり、迅速な意思決定も期待できる。「医師と話すことがほとんどなかったヘルパーにとっては医療に貢献する実感が得られ、モチベーションも上がる」(小峰部長)

引用元: エーザイが認知症で「医療と介護」の連携に挑戦.

 介護ヘルパーさんにとっても医療関係者と接することで不安が軽減されたり、違う視点を得ることができるチャンスでにもなるでしょう。何より、より多くの専門家が情報を共有してくれることは、介護される側の安心感が高まるだろうと推測します。

現在も自治体や地域の医師会が中心となって在宅医療・介護の連携拠点づくりが進められていますが、医師の不足なども心配な要素です。これまで無関係に思われた分野の民間企業の力も得ながら、ITの有効活用によって、在宅医療と介護環境を整えるのは自然な流れだと感じます。

 

エーザイではこの取り組みを16年度にも全国へ波及させる考えだそうですので、今後の展開に注目したいと思います。

 

 
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