(画像はイメージです。本文とは無関係です)

「介護ロボ普及のカギは施設経営の見える化」、かながわ福祉サービス振興会が指摘

かながわ福祉サービス振興会 長寿・経営支援グループ 介護ロボット推進課 グループリーダー 課長の関口史郎氏は「次世代ヘルスケア展」(主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス、2014年10月29~31日)の「ニーズ・シーズ発表会」に登壇。「介護ロボット普及に向けたマーケティング戦略 ~課題解決に向けて私たちが取り組むべきこと~」と題して講演した。

関口氏は、2025年の日本では100万人規模の介護スタッフが不足すると予測されていることに触れ、社会問題の解決とロボット産業の振興という2つの 側面から、介護ロボットの普及が求められていると述べた。神奈川県では2010年から、介護ロボットの普及促進に向けた取り組みを強化。かながわ福祉サー ビス振興会が中心となって、県内の介護施設に「パロ」「HAL」などの介護ロボットを試験導入。その有効性の評価を進めてきた(関連記事1同2同3)。

 

局所的なメリットの訴求ではダメ

 一方、現状では介護ロボットの現場への導入が進んでいるとは言いがたい。その理由を同氏は5つ挙げた。(1)作り手の考えと使い手のニーズにギャップが ある、(2)介護ロボットの多くが10万円以上と高価、(3)介護スタッフが1人で多くの業務をこなすのに対し、介護ロボットの多くは単機能、(4)導入 効果に関する蓄積や情報が乏しい、(5)ロボットの使いこなしに長けた人材が少ない。これらの課題から、介護ロボットを「商品として提供するだけでは導入 は進まない。どのような使い方をすればどのようなメリットが得られるのか、現場が抱える問題への解決策を示すことが大切だ」(関口氏)。

メーカー側に求められる具体的なマーケティング戦略としては、実物を見なくても買いたいと思わせるような販促ツールの充実、メーカーの“代理営業”をし てくれるような熱心なユーザーを育てるための仕掛け、介護施設全体に与えるメリットを明確にする“見える化”などを挙げた。このうち見える化については、 介護施設の業務や経営の可視化によって、介護ロボットの「局所的なメリットではなく、業務の効率化という全体的なメリットを示せる」(関口氏)。

介護ロボットの10年先、20年先の将来像にも触れた。現在はスタンドアローン(単体)のロボットが大半だが、「いずれロボットは家に組み込まれ、コミュニティーに組み込まれて機能するようになるだろう」(同氏)。

引用元: 「介護ロボ普及のカギは施設経営の見える化」、かながわ福祉サービス振興会が指摘:介護:日経デジタルヘルス.

 

この記事を読んで、介護ロボットへのニーズは高まっているのに、現実に導入が進まない要因に注目してみると、

(1)作り手の考えと使い手のニーズにギャップが ある
(2)介護ロボットの多くが10万円以上と高価
(3)介護スタッフが1人で多くの業務をこなすのに対し介護ロボットの多くは単機能
(4)導入 効果に関する蓄積や情報が乏しい
(5)ロボットの使いこなしに長けた人材が少ない

 

なるほど、という要因が列挙されていますね。

これに対し、

メーカー側に求められる具体的なマーケティング戦略としては、実物を見なくても買いたいと思わせるような販促ツールの充実、メーカーの“代理営業”をし てくれるような熱心なユーザーを育てるための仕掛け、介護施設全体に与えるメリットを明確にする“見える化”などを挙げた。このうち見える化については、 介護施設の業務や経営の可視化によって、介護ロボットの「局所的なメリットではなく、業務の効率化という全体的なメリットを示せる」(関口氏)。
ことだと語られています。

 

経済産業省のサイトから一部引用しますね。

【「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました】(平成26年2月3日公表)

本件の概要

経済産業省と厚生労働省は、ロボット技術による介護現場への貢献や新産業創出のため、平成24年11月に策定した「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しましたので、公表します。

 

2.重点分野の改訂

今後のロボット介護機器の開発・実用化に係る重点分野として、新たに3項目を策定しました。平成24年11月に策定した 4分野5項目と合わせ、5分野8項目が今後の重点分野となります。(※●が今回新たに決定した重点分野)

 

(1)移乗介助

○ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器

○ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器

 

(2)移動支援

○高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器

●高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援するロボット技術を用いた歩行支援機器
(※今回新たに決定した重点分野)

 

(3)排泄支援

○排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレ

 

(4)認知症の方の見守り

○介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム

●在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備 えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム
(※今回新たに決定した重点分野)

 

(5)入浴支援

●ロボット技術を用いて浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器
(※今回新たに決定した重点分野)

 

(後略)

引用元: 「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました(METI/経済産業省).

 

先月行われた「Japan Robot Week 2014」でも、上記引用に掲載されているタイプの介護支援ロボットが出品されていて、人間一人が提供できる介護サービスに比べ、一つの動作に特化した支援ロボットが主流だと感じました。

本格的な介護支援ロボットの普及のためには、

「複数のロボットや支援サービスなどをどう組み合わせると、どのくらいの人員不足に対応できるのか、費用対効果は具体的にどうなるのか」
を示せたうえで、

操作やメンテナンス、緊急対応等のトレーニングサービスを付加して提案できる人材も必要な気がします。

 

ロボットが施設や家庭に入り込むための保守点検のインフラ作りを含め、さらに大き流れができることを期待したいです。

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