(画像はイメージです。本文とは無関係です)

 

介護保険制度を利用している方の中で、2015年8月から費用負担がアップするケースが出てくるそうです。

  • 2015年8月からは高所得者の自己負担が1割から2割に増える
  • 低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」の判断要件に資産などを追加する

という2点です。

現在介護をされている方はもちろん、「ウチはまだ介護は関係ない」という方も注目したほうが良い、大きな変更点になりそうです。

※実際には、自治体が独自に軽減や上乗せの割合を決めているそうなので、詳細はご自身が住んでいる自治体に問い合わせて確認してください。

 

どんな変更があるのでしょうか?

  厚生労働省の【介護保険制度の改正について】という書類を見てみると、

「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の概要」の趣旨として、以下のように書かれていました。

持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律について所要の整備等を行う。

「介護保険制度の改正について」厚生労働省老健曲総務課作成のPDFより
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000052458_1.pdf

 

概要の中で今回の変更に関わっている部分は以下、3.の項目です。

3.地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関係)

①在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業の充実とあわせ、全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を地域支援事業に移行し、多様化
 ※地域支援事業:介護保険財源で市町村が取り組む事業

②特別養護老人ホームについて、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点化

③低所得者の保険料軽減を拡充

④一定以上の所得のある利用者の自己負担を2割へ引上げ(ただし、月額上限あり)

⑤低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」の要件に資産などを追加

「介護保険制度の改正について」厚生労働省老健曲総務課作成のPDFより
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000052458_1.pdf

上記の中の、④ ⑤の部分が2015年8月から変わる部分です。

 

 

言葉が難しいですね。どんな改正かと平たくいいますと、

④=利用者負担の増加

高所得者の自己負担が1割から2割に増えます!

▼現在は

介護保険を利用した時の自己負担は所得に関わらず一律1割

▼8月からはこうなります

「単身で280万円以上」
「夫婦で359万円以上」
の年金収入がある世帯は、自己負担が2割にUP

これらは平均的な年金収入を上回るとされていて、被保険者の中で所得上位の20%が該当するとされているそうです。

 

⑤=補足給付の見直し

低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」の判断要件に資産などが追加されます!

▼現在は

特別養護老人ホームなどに入所した際の「食費、部屋代」は原則自己負担だが、所得が低い人は軽減されている。
「所得」のみを見て判定されている

▼8月からはこうなります

預貯金などの資産もチェックする
単身で1000万円超、夫婦で2000万円超の資産を持つ人は、自己負担の軽減がされなくなる場合がある

預貯金や有価証券などから負債を差し引いた純資産ベースで算出。非課税の遺族年金や障害年金も資産とみなされるようです。

 ※補足給付が受けられるのは、福祉の観点で設けられた介護保険施設のみです

 

自分や家族の自己負担がどうなるのか確認を!

2015年の介護保険制度改正により、
4月には低所得者の負担額が減る一方、
8月からは高所得者の自己負担額を引き上げる…
介護を受ける人の所得に応じて負担額を変えることで公平化を図ろうとしているのは伝わってきますが、「補足給付の見直し」についてはどうでしょう?

今回の「補足給付の見直し」で、「年金収入は少ないけれど資産が1000万円を少しだけ上回る」ようなケースを想像すると、「あれ? 私は老後のトラブルに備えてコツコツ貯蓄してきたのだけれど…生活は年金だけでは足りないから貯蓄を崩しているし…」と頭を抱える人もいるかもしれません。

たとえば、自宅の改修がいずれ必要になるから少しまとまった出費を想定しているとか、健康保険が使えない治療を受けるかもしれないとか…。
何かあったときの予備費としては決して多い額ではないように思えます。

「財源が厳しくなっているから、以前からあった居住費や食費の負担を軽減する制度の判定条件を少し厳しくするよ」ということですが、ご自身や親御さんの自己負担が8月からどうなるのか。しっかり事前チェックが必要です。

 

※実際には、自治体が独自に軽減や上乗せの割合を決めているそうなので、詳細はご自身が住んでいる自治体に問い合わせて確認してください。

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